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嫁に来ないか

ミニコミ雑誌「嫁に来ないか」の編集長のブログです。2015年おはぎ号(無料!) noteにて発売中!

冷蔵庫が壊れた の 巻 長編

家電物語

あれからもう10日ですか。早いものですね。
というかその間6日は田舎にいたのですけども。。。


さて 冷蔵庫が壊れた長い長い真夏の2DAYS(24h)をお話し致しましょう。



10日、21時。
夫の帰宅に向けてそろそろ夕飯でも作ろうかなー、と冷蔵庫を開けたところ、
かすかにイヤな臭い。腐敗臭ではない。そうこれは・・・別荘で久しぶりに冷蔵庫を開けた時のあの臭い・・・手を入れてみると庫内は全く冷たくない。
暑かったから調子悪いのかな、と、庫内温度の冷気のつまみを「大」にして、パタンと扉を閉め、歩き出そうとして、ふと立ち止まった。ホラー映画でいえば、ここから不穏な音楽が鳴り始めるところ…


何の気なしに振り返って、ちょっと考え、冷凍庫の扉に手をかけ、引き出してみると…
全て溶けてる!!!!!!!! (SE:ギャー!!)


人はパニックになると足踏みをするのですね あわわあわわわと右往左往し、時計を見上げ、すぐノートPCを開いてヨドバシの閉店時間を確認すると、すぐさま家を飛び出して、ヨドバシ冷蔵庫売り場にと走る。
冷蔵庫を見回す。私は冷蔵庫はビジュアルだと思っている。壁面を埋め尽くすという点ではカーテンと同じだからだ。さて。


私の冷蔵庫(10年前・最初の結婚で購入)は可愛かった。マグネットをひとつも貼りたくない、それだけで自慢の可愛い冷蔵庫。
黄色くて、シンプルで、台所という苦行空間を可愛いくて居たいところに変えてくれた。当時、予算はオーバーしたが、どうしてもこれが欲しくて。
それが10年後の今、どうか。いや、5年ほど前から、私は知っていた。
勿論来るべき時のためにという意味もあるが、趣味の一環として、家電はよく見ている、その中で、冷蔵庫の進化は、私の思いとは全く別の方向に走り出していた。
はっきり言って、小学生がこぞって持っていた多機能筆箱だ。
いらぬ扉、いらぬ部屋が多すぎ、プラスティックの小部屋たちはカタカタと不安定で心もとない。ほっと庫ってなんだ。
そして私が重要視しているデザインはというと、どれもこれも車のボディーのよう。
冷蔵庫戦隊として組み合わせたら走り出したり戦い始めたりしそうだ。
カラーバリエは各社白・銀・若干茶。かわいいものが一つもない。知ってた。
冷蔵庫もそろそろと言った夫に対し「冷蔵庫だけは可愛いのが出てから買い替えたい」と言い続けていた。なのにこんなに早くこの中で選ばなければならないなんて…


機能は各社そんなに変わらない。方法が銀イオンかナノイーかっていう違いで除菌をしてくれたり食物のもちを良くしてくれたり至れり尽くせりなのだ。だからこそデザインで選ぶことになるのだが…
とにかくもうパッと見て一番いいと思ったデザインのものに当たりをつける。見ればグッドデザイン賞受賞だ。そうか。
他にも数種、値段とサイズと機能を確認、パンフレットを一応全種類取り、店員に「冷蔵庫壊れたんですけど(代替機を出してくれるところもあるらしいので一応言った)、明日の朝買ったらいつ届きますか?送り先はこの近所です」と言うと、「在庫があれば当日の夜に着きます」との事。すごいーー!!
この時ほどAKBに住んでいて良かったと思ったことはありません。


その足で今度はドンキへと走り、折り畳めるクーラーバッグ(大と小)を買い、
業務用スーパーに走り、業務用の板氷を買う。簡易冷蔵庫だ。



家に帰り、「ドライ」オンリーだった我が家のエアコンを「冷房22度」に設定し、冷蔵庫を開けっ放しにする。もう庫内温度の方が高くなってしまっているからだ。野菜をダンボールに入れ冷気があたるところに避難。

生鮮食品が少なかったのが幸いした。腐っているものはほとんどない。(冷凍の牛筋と鶏肉は破棄)
問題は、解凍されてしまったうどん5玉・干物各種・ベーコン・ご飯5つ。冷蔵の肉2種。
私は明日、終電となる21:30にAKBを出て田舎に行かなければならない。
勿論何の支度もしていない。
とりあえず食べなければ。
まず豚バラを豚シャブにしてめいっぱい食べ、湯で汁でうどんを1玉食べる。
夫には肉と野菜を炒めたものとご飯を出す。
パンフレットを見ながら相談し、決めた冷蔵庫は結局ビジュアルで日立のRY-5400にした。家電芸人で「真空のプシューの音を、一番いい音にする研究もした」と聞いてから、実際夫と二人で試しに行ったこともある馴染みの冷蔵庫。
東芝の鮮度名人とも迷ったのだが「阿部ちゃんと天海さんのイメージによるものが大きいのではないか」ということと、余計な機能があまりない事で決めた。夫は多分、プシューが気に入ったのだと思う。あれは絶対男性に向けた機能だ。ぜったい。


眠る前、部屋の電気を消すと、単なる棚と貸した冷蔵庫内の灯だけが灯っている。

この灯が生きていたせいで、冷蔵庫が壊れた事に気づけなかった。
逆だったらよかったのに…パナソニックめ…


翌朝、いろいろとへとへとだったのだが根性でお弁当を作り(食材を減らさないと!)、夫がいつもより1時間遅い出社日だったので、一緒に売り場に走り、実際行って確認して、購入。
何時に届きますか、と聞くと、「夜間なので18:00から22:00の間のお届けになります」。顔を見合わせる私と夫。「あの、21:30にはいなくなってしまうのでそれまでにお願い出来ませんでしょうか」と聞くと、「時間のご指定になりますと翌日以降になりますねー」と言われる。「じゃあ何時に届くというのはいつ頃わかりますか?」「15分前にお宅にお電話入れさせていただきますー」…
夫に、「20時に連絡来なかったら電話するから、家に帰ってきて貰っていい?」と聞く。こんな日くらい定時にあがれないのか、と言いたいのを我慢。そんな事ができる仕事の密度なら、一緒に田舎に行けるのだ。それでも今日は早く帰れるよう、最悪自宅作業にできるように今日一日動く、と言う夫だった。


全くノーマークだったエコポイントを図らずとも貰ってしまったので、
エコポイントとは何か、どうしたら何が貰えるのかを調べる。
昼食に干物を焼いて食べる。
加圧の予約を入れていたので出かけ、帰ってきて、時計の針が、16:00なのを見る。
あと5時間。焦る。エコポイントの事調べるのなんて後でも良かったが、人間というのはいつだってそういう風に出来ているのだ。
取り急ぎ、ひきとられる冷蔵庫内を空にしなければ。
全ての食材・調味料を外に出し、いらないもの・ダメになったものを捨てる。
なぜ同量減ったメープルシロップが2瓶あるのか。

パッと見、「地獄」、という言葉が浮かんでくる。
冷蔵庫をざっと掃除し、保存容器などの洗い物にとりかかる。


次に、冷蔵庫の入る導線上の物を片付け、「たぶんここで冷蔵庫を切り返して入れるであろう」という棚を移動させる。



猫による導線チェック済み。


17:30。
田舎に行く支度をする。大抵のものはあちらに置いてあるので、服と下着、化粧類・洗面具。お茶葉数種類。食材(キャベツ・卵・焼きそば・タマネギ・納豆)をクーラーバッグ(小)に詰める。これは便利だ。帰りには干物を入れて帰れる。


18:00。携帯に見知らぬ携帯番号の電話。宅配業者だ。
18:30〜19:30の間に届くとの事!!良かった!!!


生鮮食品と解凍されたうどん玉(4玉)を睨みつけながら、どうしようかと考える。


18:25。
いつ来てもいいように、お風呂場にスイミンを、脱衣所にパリを閉じ込める。
なきわめくパリ。


携帯に従姉妹から、田舎にコーヒーメーカー(おばあが欲しいというので購入したのに全然使われていないフランフランのやつ)が送られてくるって!というメールがきたので、それなら美味しい珈琲を出した方がいいだろう、と、スイミンブレンドの豆をひく(手動)。何しろお盆は、従姉妹にとって、ここ数年間田舎から遠ざかっているおばあさんを筆頭とする他の親戚へのプレゼンの場だ。愛する田舎の家の存続(とメンテナンス費用捻出)のため、なるべくみんなに快適に過ごしてほしい。そのため私達は前乗りをして掃除をし、布団を干し、虫を撃退し、珈琲豆をひく(手動)。
前回は従姉妹のプレゼンのおかげで壊れてお湯が出にくくなったボイラーを買い替えてもらい、妹には新しいソファーを購入してもらった。(後日談だが今回プレゼンの甲斐あって、地デジ対応テレビは全員の割り勘、冷蔵庫は伯母が買うという事に、他、備品費として母からお金を預かった)
現地のスーパーで粉を買ったら絶対「ひいて持ってけば良かった」と後悔するに決まっているのだ。


19:30。
豆をひき終わったか終わらないかのうちに業者到着
まずは冷蔵庫の引き取り作業。
かわいいあの子がつれて行かれる。
突如感傷の波が私を襲う。
洗濯機を人に譲った時も、乾燥機と掃除機を粗大ゴミに出した時も、こんな気持ちになった事はなかった。なぜ冷蔵庫なのか。いやそれは女として当然なのか。
冷蔵庫は、不器用に独り立ちした私のアイデンティティー、あるいは象徴なのだ、たぶん。
結婚したり離婚したり一人暮らししたり再婚したりしたことが、その台所が、スイミンが登ったりパリが登ろうとして落ちた光景が、はじめて買って家についたとき嬉しくて扉に手のひらを合わせたあのひんやりとしたなめらかな感触が、運ばれていく、棺のような私の冷蔵庫。


感傷は飛び出してきたパリにかき消され、慌てて追いかけて脱衣所に再度閉じ込め、軽く掃除をして新しい冷蔵庫を迎え入れる。
設置されると、新築の我が家には馴染みすぎ、モデルルームのように美しくよそよそしい。嫌いじゃないが気恥ずかしい。
玄関を閉めて、猫達を出す。パリはびびっている。スイミンは匂いをかぎまくる。

扉を開けると、同じサイズなのに容量が大きすぎて途方にくれる。何しろ1.5倍は入るのだ。とにかく中の付属トレーを止めてあるテープを全て引きはがす。
時計を見ると20:00。やばい。あと1時間半だ。
夫が帰路についた事をメールで知り、冷蔵庫にものをいれる事は任せる事にして、
生鮮食品の始末にとりかかる。
あまりにも棚が多いので、ひと棚夫専用の部屋にしてあげた。ビールが取り出しやすそうな「下がって届くん棚」だ。


魚焼きグリルでイカなどの干物を次々に焼く。
その間、4玉分の焼うどんを作り、焼いたイカの干物を合わせる。(私の夜のお弁当と夫の夕飯、余りは冷凍して夫の翌日以降の食事に)
もういっぱいのイカの干物は細く切っておつまみとして保存容器に。
かます・さばの半身を保存容器に入れ、夫のお弁当or夕飯。
残りのさばの半身は梅干としらすとあえてお茶漬けのもとに。
塊のベーコンや細かなベーコン、残った薄切りの豚肉と余り野菜は圧力鍋にめいっぱい入れて、カレーに。(カレーって便利)
ぬか床をかきまわして、後で冷蔵庫に入れてもらうよう夫に指示。


21:30。冷蔵庫の機能の何もわからぬまま飛び出して、最終電車に間に合い、暗い海を眺めながら干物のイカ入り焼うどんを食べたら、ちょう美味しかった。


田舎にいる間、夫から毎日冷蔵庫の機能のメールが届く。
プシュッといったの、製氷室に氷ができてきたの、氷が出来る音がするたびに猫達がビクッとするだの、トマトが全部並べて入ったの…楽しそうですね!!!!!!!
家に帰って私がまずした事は、冷蔵庫の取り扱い説明DVDを見た事で
夫にしまって貰ったおかげで、帰ってきてから5日たつ今も、どこに何があるのか手が全く覚えないでいる。
スタイリッシュなオシャレ冷蔵庫は、可愛げはないし、製氷室も本当はいらないんだけど、仕分けトレーが絶妙のバランスで、野菜が冷え過ぎなくて、保存食も詰め放題、やっぱりとっても便利です。はやく私に馴染みますよう。そして10年後にはカラーバリエが出ていますよう。