嫁に来ないか

ミニコミ雑誌「嫁に来ないか」の編集長のブログです。

小説「ボッカとロッカ」毎朝7時更新!

3/8 その2

連絡帳のカバーとは、文庫本にかけるカバーのようなもの。子どもたちがパッと見て自分のものだとわかるように、オリジナルの名前つきカバーを作るのだ。

指南書には、A6とB6の2つのサイズが紹介されていた。
連絡帳のサイズはB6なので、そちらで作ることに。

作り方は、縫い物というよりは折り紙のような感覚で、先日購入した定規つきアイロンシートがとても役立った(何度も何度も折り線をアイロンでつけるので)。
カバー見返しの部分は上下が表紙とつながった袋状になっており、なにをどうしたらこうなったのかよくわからないが、とにかく指南書の手順を追っていってひっくり返したらできたので、おお、と思った。そこも、折り紙っぽい。

さっそく手帳にセットしてみると、想定されていた連絡帳より薄いのだろうか、大分ぶかぶかで、表紙よりも裏表紙が著しく飛び出している。これでは取れてしまうだろう。
うーむと唸り、リッパーでほどき、じゃあ、A6…?と縫い直してみる。
できあがり、セットしようとすると、小さくて入りきらない。
ですよね!そりゃあね!!だってB6だしね!!と再びリッパーでほどく。こんなに縫ったりほどいたりして、大丈夫なんだろうか。

今度は、直接連絡帳のサイズを測ってやり直す。
当たり前だが、ピッタリサイズのものが出来上がった。
心なしか、布に使い込まれたようなくったり感が出ている。肌触りがよくなったということで良しとしよう。
この後は端全体にステッチをかけるのだが、濃い緑色に生成りの糸をかければ、また雑巾のように見えてしまうかもしれない(布もくったりしてきたので余計に)。
そうだ、エプロンに使う糸と同じものを使おう。明日、それを買おう。
幼稚園からは、栞がわりの太い平ゴムをつけて、子どもがその日に開きやすいようにするよう言われている。そのゴムも買おう。娘の好きな赤にしてやろう。

名前シールをアイロンでつけて、表紙をなでた。
楽しいかも。
この幼稚園入園グッズ作りがはじまってはじめて、私の心は軽やかだった。
カバーだって、相変わらず、縫い目は曲がっているし、返し縫いをした裏側はなぜか糸がぐしゃぐしゃっとなっている。家庭科の授業なら、5段階でまあ3ならギリギリ貰えるかというところ。
でも、そういうこと以前の楽しかった思い出が、蚊柱のように頭上からぶわぁと立ち上った。
小学生の頃、フェルトマスコットを作ることが仲間内で大流行した。夏休みの自由研究にもしたかもしれない。私達は放課後、誰かの家に集っては額を寄せ合うように針を動かした。その中には特別にうまい子もいた(彼女は現在形成外科医だ)。私は熱中しやすくて、飽きっぽくて、不器用で、でも関係なかった。なんで関係なかったんだろう?ひたすら、まつり縫いをした。丸いものの端に。あれは、トマトだったか、トウモロコシだったか、ぶどうだったか。フェルトを切って、縫い合わせて、綿をぎゅうぎゅう詰めて。家庭科の授業に憧れていた。ミシンを使ってみたかった。

娘は喜んでくれるかしら。
彼女が起きてリビングにやってきたとき、目に入るであろう位置に連絡帳カバーを置いて、寝室に向かった。時計は4:30を過ぎていた。